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 「森と棚田で考えた」再度のご案内

タナダからの手紙 No.4 2006/2/6


沢畑@愛林館です。

先日お知らせした私の著書「森と棚田で考えた」ですが、おかげさまでかなりの御注文をいただきました。100万部突破まで、僅かに99万9千部を残すのみです。しつこいとは思いましたが、もう一度セールスのメールをお送りいたします。

出版については、朝日新聞(県内版)、熊日新聞新生面(1面のコラム)、西日本新聞経済面などで取り上げられ、昨日は熊日に書評も掲載されました。書き手は吉井正澄前水俣市長で、過分なお褒めをいただいております。

また、県内在住の著者を対象にした熊日出版文化賞の候補(全12作品)にもなりました。

ちょっと長いですが、吉井さんの書評を下につけます。まだご購入いただいていない方、よろしくご検討をお願いいたします。価格は1680円、送料は私が負担しますので、商品到着後に郵便振替でお支払い下さい。アマゾン等のネット書店でも買えます。

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 「東大を出た人が、なんでこんな過疎の村に。変わった人もいるもんだ。」「愛林館」の館長として赴任した著者を迎えた地域住民の言葉である。

 それから十数年。「森と棚田で考えた」がその答えであろう。アイデアに富んだ数々の事業と、その中に込めた“沢畑イズム”を平易な言葉でしかもユーモアたっぷりに説いているから説得力がある。

 群馬県上野村に住む哲学者内山節氏は、「貨幣経済は非常に合理的、効率的であるが矛盾だらけである。貨幣経済が活発になればなるほど地域社会は衰弱する。それを防げるかどうかは、貨幣を介しない経済をどこまで拡大できるかである」と述べている。著者の愛林館でのむらづくり活動は、その実践であり実験であると言えよう。

 地方の住民は、大都市の豊かさにあこがれ、模倣をはじめて久しいが、豊かになるどころか過疎化は一段と深刻化している。著者は、自然に根ざした地域の伝統的な価値を見いだし、それに彼の持論のエコロジー<風土・循環・自律>というエネルギーを吹き込むことで、地方に住む豊かさ、誇り、生きがいを生み出そうと提唱している。それは持続可能な地球をつくっていくことにもつながるという。

 その貨幣経済を絶対としないむらづくりが成功するかどうかは、住民がむらづくりの楽しさを実感できるかどうかで決まる。それには提唱者が真に楽しんでいることが絶対条件だろう。この本の随所に「都市住民が味わえない贅沢」という言葉が踊り、各項に付けられたユーモラスな<あとからひとこと>を読むと著者自身がいちばん楽しんでいるのが読み取れる。自称「自由飲酒党総裁」の酔言ではなく本音だと信じたい。

 今や、著者と愛林館の名は全国に知られている。視察、講演依頼は引きも切らない。昨年には「過疎化地域自立活性化優良事例総務大臣賞」を受賞している。本書が、多くの都市住民の農山村へのまなざしを変えてくれることを期待したい。
                         評:吉井正澄(前水俣市長)
                       熊本日日新聞2006年2月5日


目次
1章 森を育てる
 ・大学山の照葉樹林
 ・愛林館だより
 ・市民参加の森づくり
 ・森づくりのイベントは、「森の公益的機能には
  もっとお金を出すべき」という世論形成がねらい
 ・水俣の山里から

2章 美しい棚田の私
 ・水俣川の源流から
 ・美しい棚田の私
 ・棚田保全のための試み
 ・大豆畑トラスト制度の導入で広がる棚田保全の支援の輪

3章 山里通信
 ・エコロジーに基づくむらおこし
 ・地球温暖化に山村からの声を
 ・久木野の才人を讃える
 ・照葉樹の拡大造林を
 ・小さい町の大きな賞
 ・デカップリング制度の導入に賛成する
 ・森を育てる「働くアウトドア」
 ・夏の贅沢
 ・イベントの秋・飽きないイベント
 ・山村の過疎化・高齢化・少子化
 ・役所の予算はこうすればいかが?
 ・足下の宝もの

4章 水俣から見える社会
 ・味覚と県境
 ・おいしい久木野の家庭料理大集合
 ・元気な年寄りは「安心の素」「エコロジーの素」
 ・ドイツの山村訪問
 ・地域自給のすすめ
 ・21世紀に水俣は何をするのか
 ・水俣から見える社会
 ・山里を襲った土石流
 ・きょうの発言
 ・意見異見
 ・グリーン便り

5章 エコロジカル・アジア
 ・好きな建築家・嫌いな建築家
 ・雨水利用東京国際会議とインドネシア
 ・風土と調和した伝統文化の保全をめざす
 ・エコロジカル・アジア
   「炭」の利用
   竹
   植え込み
   脱都会生活
 ・熱帯都市を目指して
 ・インドネシアの「塚原君」
 ・美しい竹の村
 ・泥子・異稿