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産廃処分場に意見書を

タナダからの手紙 No.5 



水俣の環境を守る手助けをしていただけませんか?

(株)IWD東亜熊本が水俣市内に建設を計画している大規模な産業廃棄物処分場について、環境影響評価準備書(いわゆる環境アセスメント)が出されました。(現在、愛林館を始め市内で見ることができます。)

水俣市民は、水俣病で多くの人が病み、亡くなり、地域差別に苦しみ、地域社会の崩壊に苦しんできました。その被害は未だ完全に癒されてはいません。しかし、その教訓を活かそうと全国でも有数の家庭ゴミの分別を始めとする環境モデル都市づくりに取り組み、成果を上げてきたところです。

そういう水俣に、九州中からゴミを集めて埋めようというのが今回の計画です。
詳しくは市役所産廃対策室
http://www.minamatacity.jp/jpn/kankyo_etc/stop_sanpai/stop_sanpai.htm
をどうぞ。3万人の水俣市民は3万人分のゴミを市内で引き受けなければなりません。しかし、よそのゴミを引き受ける義理はないのです。

4/5までは、この準備書に対する意見書を出すことができて、IWD東亜熊本は回答をしなければなりません。(意見書に個別の回答はありませんが、まとめて報告書のような形で出されます。)これまで何回か反対の署名をして下さった方もあると思いますが、署名は私文書です。今回の意見書は公文書なので、署名よりも強い意見の表明をすることができます。

意見書は、下に示す要素が入っていて、日本語で書いてあれば有効です。国籍、住所は問いませんメールでも有効です。一人何通でも出せます。皆様、ぜひ多数の意見書を出していただけませんか。意見書では、なるべく質問をして下さいね。例えば、下のような質問があります。(市役所および相思社作成)。

これをコピー&貼り付けでもいいのですが、なるべく違う文章にしていただくと助かります。もちろん、もっと素朴な「水は汚れませんか」「悪臭はありませんか」といったものでも歓迎です。一番下のフォームに書き込んでメールでお送り下さい。こちらで紙に打ち出して(もちろんメールアドレスなどは業者には知らせません)業者に届けます。なお、4/5は本当の締め切りなので、その日に送っていただいても間に合いません。4/3くらいまでにはお送り下さいね。送り先は airinkan@giga.ocn.ne.jp まで。よろしくお願いします。

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(水への影響について)
 計画地直下の大森地区には大量の湧水が確認されています。遮水工が破損した場合、これらの湧水を汚染する可能性は非常に高いと言えます。遮水工の耐用年数は永久ではないでしょう。埋め立てられた産業廃棄物が無害化せず永久に埋まったままであるにもかかわらず、遮水工はいつか必ず壊れるわけです。そのとき、水が汚染されるのは避けられません。遮水工の耐用年数、遮水工が破損したときの対策、処分場廃止後の安全性について伺いたい。
 また、大森集落の生活用水が、地下水ではなく沢水であるとしているが、その根拠を示していただきたい。

(土砂災害の危険性について)
 水俣市では、平成15年に死者19名を出す土砂災害が発生しました。計画地の地層は、災害発生地の地層と酷似しており、風化が激しく非常に崩壊しやすい地質です。
そのような土地を大規模に造成し、そこに大量に産業廃棄物を埋めるのは極めて危険です。地盤脆弱な土地への大規模開発は、土砂災害を誘発する原因になる恐れがあります。
 地震や予想を越える豪雨など自然災害は人知の及ばない規模で発生することがあります。建設された処分場がそのような被害を受け、周辺環境に甚大な被害を与えないという保障はどこにもありません。自然災害など最悪の事態をどこまで想定されていますか。

(搬入道路について)
 国道3号線から計画地への搬入道路である県道水俣出水線は、特に市街地の通称「平通り」と呼ばれる部分では、道路幅は大変狭く、住宅密集地であり、かつ、水俣高校や第三中学校の通学路にもなっています。工事期間中の資材運搬、建設後は廃棄物を毎日運搬する大量の大型ダンプの往来によって、騒音・振動、排気ガスによる大気汚染、交通事故の増大など、住民の受忍限度を超え、市民生活に重大な悪影響を及ぼすことになるのではないですか。

(農作物などへの影響について)
 埋立処分する廃棄物の焼却灰は、非常に細かい粒子となって飛散するはずです。計画地は高地にあるため、強風時は水俣市全域に影響が及ぶ恐れがあります。また、計画地周辺には水俣特産の茶園や田畑が点在しており、飛散した焼却灰による被害が予想されます。
焼却灰の飛散防止対策と農作物などへの被害発生時の対策について見解を伺いたい。

(水俣への理解について)
 水俣病問題は、工場排水という産廃により発生した最悪の環境汚染であり、50年を経た今もなお解決されず、多くの被害者が苦しんでいます。
一方で、水俣市民は、水俣病の経験を貴重な教訓として、決して環境を汚さない、地球環境破壊に荷担しないというまちづくりの考え方と生活信条に基づき「環境モデル都市づくり」を進めてきました。市民自らが、ごみの高度分別・リサイクルに取り組み、ごみを減らし、エコタウン企業を誘致して、資源循環型社会の実現を目指してきたのです。このような水俣に、巨大な産業廃棄物最終処分場を建設し、危険物が含まれている可能性のある大量の廃棄物を埋立処分することは、市民の努力を無にし、水俣のまちづくりの理念に逆行しています。
また、水俣湾埋立地は、高濃度未処理の水銀汚泥を封じ込めた、広大な産業廃棄物最終処分場であるとも言えます。このような受難の地水俣に、さらに巨大な産業廃棄物最終処分場の建設を計画するとは、あまりに理不尽なことではないですか。
 貴社の水俣に対する理解、水俣を建設地に選ばれた理由を伺いたい。

(用地選定について)
 最終処分場は、地質や周辺環境への影響など様々な条件を十分考慮して用地選定すべきと思いますが、貴社は事前にそのような条件を考慮されたのでしょうか。まず「土地ありき」ではなかったのですか。熊本県の公共関与による最終処分場候補地の選定条件や専門家の意見によっても、現在の予定地は処分場として不適であると思います。貴社の用地選定の基準・条件を示していただきたい。

(情報公開等について)
 一昨年11月9日の説明会で御社はその場での質問を受け付けず、質問シートに質問事項を記入するように指示しましたが、形ばかりの返事が1年以上経った今年1月にようやく住民のもとに届きました。貴社は住民に対する説明責任をどう考えているのでしょうか。今回の準備書縦覧においても、著作権を理由に準備書の複写を拒んでいますが、貴社は環境影響評価の趣旨をどのように理解しているのでしょうか。 貴社は、住民や水俣市が要求してきたボーリングコア等の提出にも、3月11日の説明会において、公衆の面前で準備書の問題点を徹底的に追及されるまで、決して応じようとはしませんでした。
 貴社は住民に対して住民が必要と思う情報を、十分に公開するべきです。また、水俣市や住民による用地内への立ち入り調査(ボーリング調査を含む)を認めるべきです。

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IWD東亜熊本最終処分場事業 環境影響評価準備書に対する意見書

熊本県水俣市長崎1520番地43
株式会社 IWD東亜熊本 社長 小林 景子 様

熊本県環境影響評価条例第17条の規定に基づき、環境保全の見地から以下のとおり
意見を申し上げます。
氏名:
住所:
意見: